登録支援機関の設立要件について

受入機関・特定技能の外国人の方から信頼されるパートナーになるために
登録支援機関として活動するには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。この登録は、特定技能外国人を適切に支援できる体制と能力があるかを審査するために設けられています。
1. 人材に関する要件:適切な支援体制の確保
最も重要なのは、実際に支援業務を行う「人」の体制です。
- 支援責任者と1名以上の支援担当者の選任:
- 登録支援機関は、必ず1名以上の「支援責任者」と、その業務をサポートする「支援担当者」(事業所ごとに1名以上)を選任する必要があります。
- これらの担当者は兼任も可能です。
- ポイント: 支援責任者や支援担当者は、外国人材の生活相談に関する知識や経験が求められます。過去5年間に2年以上、就労資格を持つ中長期在留外国人の生活相談業務に従事した経験があることが望ましいとされています。
- 十分な経験または実績の証明:
- 登録支援機関になろうとする個人または団体は、以下のいずれかの実績があることが求められます。
- 過去2年以内に中長期在留者(就労資格に限る)の受け入れまたは管理を適正に行った実績があること。
- 過去2年以内に報酬を得る目的で、業として、在留外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること。 (これは個人が登録支援機関になる場合によく該当します。)
- 選任された支援責任者および支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る)の生活相談業務に従事した経験を有すること。
- 上記に準ずる、同程度に支援業務を適正に実施できると認められること。
- なぜ必要?: これらは、外国人材の特性や日本での生活環境を理解し、実際に支援業務を遂行する能力があることを示すものです。机上の空論ではなく、具体的な経験が重視されます。
- 登録支援機関になろうとする個人または団体は、以下のいずれかの実績があることが求められます。
- 言語対応体制の確保:
- 支援対象となる外国人が十分に理解できる言語で、情報提供や相談対応ができる体制が必要です。
- ポイント: 特定技能外国人は様々な国籍の人がいるため、多言語対応ができる、または通訳者を手配できる体制が求められます。これは、外国人が不安なく相談できる環境を保証するために不可欠です。
2. 運営に関する要件:適正な事業運営の証明
支援業務の質と透明性を保つための要件です。
- 支援費用の外国人本人への不負担:
- 支援に要する費用を、直接的にも間接的にも外国人本人に負担させてはなりません。費用はすべて特定技能所属機関(受け入れ企業)が負担する義務があります。
- なぜ重要?: 外国人が支援を受けることで金銭的な負担を強いられることを防ぎ、安心して制度を利用できるようにするための重要なルールです。
- 支援状況の記録・保管:
- 支援計画の実施状況に関する文書を作成し、外国人との雇用契約終了日から1年以上備え付けておく義務があります。
- ポイント: これは、支援が適切に行われたかを後から確認できるようにするための記録義務です。
- 行方不明者の発生防止:
- 登録の申請日前1年以内に、自らの責めに帰すべき事由により、特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていないことが求められます。
- なぜ厳しい?: 外国人の失踪は、制度の根幹を揺るがす問題であり、登録支援機関にはその防止に対する強い責任が求められます。ただし、支援が適切に行われていたにもかかわらず、やむを得ない事情で失踪に至った場合は、この限りではありません。
3. 欠格事由:信頼性を損なう要因がないこと
申請者やその役員などが、以下のいずれかの「欠格事由」に該当しないことが必須です。一つでも該当すると登録は拒否されます。
- 犯罪歴:
- 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終えてから5年を経過しない者。
- 出入国管理及び難民認定法(入管法)、技能実習法、労働関係法令(労働基準法など)に違反し、罰金刑に処せられた者で、その執行を終えてから5年を経過しない者。
- 暴力団関連法、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者。
- 社会保険や労働保険に関する法令に違反し、罰金刑に処せられた者。
- ポイント: 比較的軽微な罰金刑であっても、入管法や労働関係法令に関するものは欠格事由となり得ます。これは、外国人材の保護を重視する特定技能制度の厳格さを示すものです。
- 精神機能の障害、破産:
- 精神機能の障害により支援業務を適正に行うことができないと認められる者。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者。
- 登録取り消し歴:
- 過去に登録支援機関としての登録を取り消された日から5年を経過しない者(取り消された法人の役員であった者も含む)。
- 不正行為歴:
- 登録の申請日前5年以内に出入国または労働に関する法令に関し、不正または著しく不当な行為をした者。
- 暴力団関係者:
- 暴力団員等、または暴力団員等がその事業活動を支配している者。
- 特定の関係者ではないこと:
- 特定技能所属機関の役員の配偶者や2親等以内の親族、その他密接な関係を有する者が支援責任者として選任されている場合。
- 過去5年間に特定技能所属機関の役員または職員であった者を支援責任者として選任している場合。
- なぜ重要?: 特定技能所属機関と登録支援機関の間で、支援の独立性と中立性を確保するためです。利益相反や癒着を防ぎ、外国人材の利益を最優先にするための措置です。
登録支援機関の設立要件:ポイントまとめ
要件カテゴリ | 項目 | 詳細とポイント |
---|---|---|
1. 人材 | 支援責任者・担当者の選任 | 1名以上の支援責任者と、事業所ごとに1名以上の支援担当者が必要。これらの人は、過去5年間に2年以上、就労外国人材の生活相談経験があることが望ましい。 |
十分な経験・実績 | 過去2年以内に就労外国人材の受け入れ/管理実績、または相談業務経験があること。もしくは、支援責任者・担当者が過去5年間に2年以上、就労外国人の生活相談経験があること。実務経験が重視されます。 | |
言語対応体制 | 支援対象の外国人が理解できる言語で、情報提供や相談対応ができる体制を確保。多言語対応能力が重要です。 | |
2. 運営 | 支援費用の負担 | 支援にかかる費用は、外国人本人に一切負担させてはなりません。すべて特定技能所属機関(受け入れ企業)が負担します。 |
支援状況の記録 | 支援計画の実施状況を記録した文書を作成し、外国人との雇用契約終了日から1年以上保管。支援の透明性を確保するためです。 | |
行方不明者の防止 | 申請日前1年以内に、登録支援機関自身の責任で特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を出していないこと。外国人の失踪防止への責任が問われます。 | |
3. 欠格事由 | 犯罪歴 | 禁錮以上の刑、または入管法、技能実習法、労働関係法令などに違反し罰金刑を受けてから5年経過していない場合。暴力団関係者ではないこと。法令遵守の姿勢が厳しく問われます。 |
精神機能の障害・破産 | 精神機能の障害により業務が適正に行えない、または破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないこと。 | |
登録取り消し歴 | 過去に登録支援機関の登録を取り消されてから5年経過していない場合。 | |
特定の関係ではないこと | 特定技能所属機関の役員の配偶者や親族、または過去5年以内にその役職員だった人が支援責任者になっている場合など、独立性・中立性を損なう関係性がないこと。外国人支援の中立性を保つためのルールです。 | |
申請 | 手続きと費用 | 必要書類を揃え、出入国在留管理庁へ申請。申請手数料28,400円。審査を経て登録され、有効期間は5年間。 |

登録支援機関の母体業種は多岐にわたりますが、大きく以下の3つのタイプが多いとされています。
1. 人材紹介会社等の「会社組織」
これが登録支援機関として最も多い母体業種です。
- 特徴: 既に人材紹介ビジネスを展開しているため、外国人材の募集から、受け入れ企業のニーズに合った人材のマッチング、そして特定技能の支援まで一貫してサービスを提供できる強みがあります。
- 理由: 人材紹介手数料と支援業務の報酬の両方を得られるため、ビジネスとして成り立ちやすい構造です。多くの人材紹介会社が特定技能の分野に参入しています。
- 例: 大手の人材サービス企業や、外国人材に特化した人材紹介会社などが多数含まれます。
2. 監理団体等の「協同組合」
技能実習制度で監理団体として活動していた協同組合が、特定技能制度でも登録支援機関として活動しているケースが多くあります。
- 特徴: 技能実習制度を通じて外国人材の受け入れや管理、支援のノウハウを既に持っているため、特定技能への移行もスムーズです。特に地方の企業とのネットワークが強い傾向があります。
- 理由: 技能実習生から特定技能へ移行する外国人も多いため、これまでの経験を活かしやすいです。
- 例: 事業協同組合、企業組合などがこれに該当します。
3. 行政書士等の「士業事務所」
外国人の在留資格手続きを専門とする行政書士事務所が、登録支援機関として活動しているケースも多く見られます。
- 特徴: 在留資格の申請手続きや法令に関する専門知識が豊富であり、適法な受け入れ・支援を行う上での法的サポートに強みがあります。
- 理由: 特定技能制度は入管法に基づくため、法律の専門家である行政書士は、その知識を活かして支援業務を効果的に提供できます。弁護士事務所が母体となっている場合もあります。
- 例: 〇〇行政書士事務所、〇〇法務事務所など。
その他
上記以外にも、以下のような業種が登録支援機関として活動していることがあります。
- コンサルティング会社: 外国人雇用に関するコンサルティングを行う企業。
- 外国語学校・日本語学校: 外国語教育や日本語教育のノウハウを活かして支援を行う。
- 特定技能外国人を実際に雇用している企業: 自社の外国人材支援ノウハウを活かして、他社の支援も行うケース。