社会福祉法人って何?普通の会社とどう違う?
社会福祉法人(しゃかいふくしほうじん)とは、その名の通り、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法に基づいて設立される特別な法人です。
その最大の特徴は「非営利性」と「公益性」にあります。株式会社のように利益を株主に分配することはなく、事業で得た利益はすべてその法人の社会福祉事業のために再投資されます。
社会福祉法人の主な特徴と目的
- 社会福祉事業の実施: 社会福祉法人は、法律で定められた「社会福祉事業」を主たる目的としています。社会福祉事業は、大きく以下の2種類に分けられます。
- 第一種社会福祉事業: 利用者の生活に大きな影響を与える事業で、例えば特別養護老人ホーム、児童養護施設、障がい者支援施設など、入所施設を伴うものが多く、安定的な運営が強く求められます。
- 第二種社会福祉事業: デイサービス、訪問介護、保育所、地域包括支援センターなど、在宅サービスや通所サービスが中心で、比較的身近な福祉サービスが含まれます。
- 高い公共性・非営利性:
- 営利を目的とせず、事業で得た収益はすべて社会福祉事業の充実に充てられます。
- 解散時においても、残余財産は国や地方公共団体、または他の社会福祉法人などへ帰属し、設立者や役員に分配されることはありません。
- 設立には、財産要件(1,000万円以上の基本財産など)や役員構成、組織運営に関する厳しい要件が課せられ、所轄庁(都道府県知事や市長など)の認可が必要です。
- 行政からの監督・支援:
- 公益性が非常に高いため、行政(厚生労働省、都道府県、市町村など)による指導・監督を厳しく受けます。事業報告書の提出や、必要に応じた監査が行われます。
- 税制上の優遇措置や、施設整備に関する補助金を受けやすいというメリットがあります。これは、社会福祉事業が国民の生活基盤を支える重要な役割を担っているためです。
- 地域貢献の義務: 社会福祉法人は、その地域における福祉ニーズに応え、地域住民や関係機関と協力して、地域福祉の向上に貢献する役割も期待されています。
社会福祉法人 | 株式会社 | |
目的 | 社会福祉事業の実施 収益事業と非収益事業に分かれる | 営利を目的として、利益を株主に分配 |
設立 | 多くの要件あり、所轄庁の認可 | 法務局への登記のみ |
税制優遇 | 法人税が非課税※ 高い優遇措置 ※収益事業(駐車場運営等)は課税 | なし |
設立難易度 | 非常に難しい | 比較的容易 |
監督 | 行政による厳しい監督 | 行政の関与は少ない |

簡単に述べましたが、設立要件にはもっと詳細に規定があります。例えば財産要件や組織要件です。設立が難しい理由として、組織要件が重いと感じます。理事が6名、監事が2名、評議員が(原則)7名と、1人で始めることのできる株式会社と比較すれば明確でしょう。また、監査もあり、公益性が求められています。
監査等は社会福祉法人の運営者にとっては、もっとも大切なものです。また、機会があれば解説します。
また、同じ介護施設でも株式会社が運営するものと、社会福祉法人が運営するものがあります。
必ずしもどちらが優れているなどはありませんが、その違いを知っていれば、老人ホーム入所の選択の際にお役に立つかもしれません。
