スタッフのお役立ちコラム

ケアマネにはなりたくない!?給与の逆転現象

ケアマネにはなりたくない!? 給与の逆転現象


2025年6月現在、目を引くニュースが報道されました

ケアマネの処遇改善を! 自民議連が要望書 介護職との賃金逆転に異議

福祉新聞 2024年5月30日付

これは、介護業界で近年特に問題視されており、ケアマネジャーのなり手不足や離職に繋がる要因の一つとなっています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の給与の「逆転現象」とは、上位資格であり、より専門的・包括的な役割を担うはずのケアマネジャーの給与が、介護現場で直接介護を行う介護職員の給与と比較して、あまり差がない、あるいは場合によっては下回る状況を指す言葉です。

なぜ「逆転現象」が起きるのか?

主な理由は、以下の点に集約されます。

  1. 「介護職員処遇改善加算」の対象外であること:
    • 国は、介護職員の人材確保と定着のため、介護報酬に「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」といった、介護職員の給与を上乗せする制度を設けてきました。
    • しかし、これらの加算の多くは、直接介護を行う「介護職員」を対象としており、ケアマネジャーは原則としてその対象外とされています。
    • そのため、介護職員の給与がこれらの加算によって着実に上昇する一方で、ケアマネジャーの給与はそれに連動して上がりにくかったため、給与水準が接近、あるいは逆転する現象が起きています。
  2. ケアマネジャーの報酬構造:
    • ケアマネジャーの報酬は、担当する利用者の人数(件数)に基づいて算定される「居宅介護支援費」が主な収入源です。この居宅介護支援費は、これまで何度も見直しが行われてきましたが、業務量や責任の増大に見合うほど引き上げられてこなかったという指摘があります。
    • 一方で、介護職員は夜勤手当や各種手当がつくことも多く、それが基本給との差を埋める要因にもなります。
  3. 業務負担の増大と専門性の見合わなさ:
    • ケアマネジャーの業務は、アセスメント、ケアプラン作成、サービス調整、多職種連携、書類作成、給付管理など多岐にわたり、精神的・肉体的負担が大きいとされています。
    • また、介護保険制度の複雑化や改正の頻度、利用者や家族の多様なニーズへの対応など、求められる専門性は年々高まっています。
    • しかし、その重い責任と専門性に見合った報酬が得られないと感じるケアマネジャーが多いのが現状です。

「逆転現象」がもたらす影響

  • ケアマネジャーのなり手不足の深刻化: 介護職員が、より専門性の高いケアマネジャーの資格を取得しても、給与が上がらない、あるいはかえって下がる可能性もあると認識されれば、ケアマネジャーを目指す人が減少し、受験者数の減少にも繋がっています。
  • ベテランケアマネジャーの離職: 経験と知識を持つベテランケアマネジャーが、待遇面の問題から離職し、介護現場に戻ったり、別の職種へ転職したりするケースも発生しています。
  • 質の高いケアマネジメントの低下: ケアマネジャーの確保が困難になると、一人当たりの担当件数が増え、個々の利用者に対する丁寧なケアマネジメントが難しくなる可能性があります。これは、介護保険サービスの質全体に影響を与えかねません。
  • 介護業界全体のバランスの崩壊: 介護の司令塔であるケアマネジャーが不足し、質の高いケアマネジメントが提供できなくなると、介護サービス全体の機能不全に繋がり、利用者が必要なサービスを受けられなくなるリスクが高まります。
行政書士堺国際支援オフィス

例えば、無資格から主任ケアマネジャーを目指す場合

もし、現在介護系の資格を何も持っていない「無資格」の状態から主任ケアマネジャーを目指す場合は、さらに長い期間がかかります。

  1. 介護福祉士などの受験資格を得る
    • 実務者研修を修了し、介護の実務経験を3年以上積む(例:実務者研修半年+実務経験3年)。
    • 最短約3年半で介護福祉士国家試験の受験資格を満たします。
  2. 介護福祉士国家試験に合格し、介護福祉士になる。
  3. ケアマネジャー試験の受験資格を得る
    • 介護福祉士として5年以上の実務経験を積む。
    • ここまでで合計約8年半~9年(介護福祉士取得まで3年半+介護福祉士として5年)。
  4. ケアマネジャー実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了してケアマネジャーになる。
  5. 主任ケアマネジャーの要件を満たす
    • ケアマネジャーとして、さらに3年または5年の実務経験を積む(上記の最短ルートを参照)。

したがって、無資格から主任ケアマネジャーになるには、最短でも約11年半~14年程度の期間がかかる計算になります。

実際、私の周りでも40代や50代、のケアマネさんがボリューム層のように感じます。

行政書士堺国際支援オフィス

この「逆転現象」は、介護保険制度の持続可能性や、質の高い介護サービスの提供体制を維持していく上で、国が早急に解決すべき重要な課題として認識されており、今後の介護報酬改定での見直しが強く求められています。

\ 最新情報をチェック /

関連記事一覧

PAGE TOP
PAGE TOP