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介護福祉士取得の裏ルート?みなし介護福祉士とは

介護福祉士取得の裏ルート?みなし介護福祉士とは


介護福祉士の国家資格「不合格でもOK」特例適用8000人超、外国人が中心…継続に賛否(読売新聞2025年6月12日付)


このようなニュースが報じられました。

ネットニュースのコメント欄を見ると、ほとんどが”否”の意見でした。みなし介護福祉士について、一般の方は全く知らない方がほとんどで介護業界にいても、このような抜け道的なものがあるということを知っている方は少ないと思います。

我々業界では、この制度で取得する方法を「みなし介護福祉士」とか「準介護福祉士」と呼ぶ場合があります。この呼称は、正式な名称ではありません。

みなし介護福祉士とは…

「みなし介護福祉士」制度

以前の介護福祉士資格取得ルートには、大きく分けて以下の3つがありました。

  1. 養成施設ルート: 介護福祉士養成施設を卒業すれば、国家試験なしで資格を取得できた。
  2. 実務経験ルート: 3年以上の実務経験を積み、実技試験・筆記試験に合格する。
  3. 福祉系高校ルート: 指定の福祉系高校を卒業し、実技試験・筆記試験に合格する(または、実務経験を積んで受験)。

しかし、介護の専門性を高め、質の高い人材を確保するため、2017年度(平成29年度)から、養成施設ルートの卒業者も介護福祉士国家試験の合格が必須となりました。

この大きな変更にあたり、急激な制度変更による混乱や、すでに養成施設で学んでいた学生への配慮から、一定期間の「経過措置」が設けられました。この経過措置によって介護福祉士として扱われる人々を、俗に「みなし介護福祉士」と呼んだりします。

  • 介護福祉士国家試験に不合格であっても、または受験しなかったとしても、卒業年度の翌年度から5年間は、介護福祉士となる資格を有するとみなされます。
  • この5年間の間に、以下のいずれかの条件を満たすことで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。
    • 介護福祉士国家試験に合格する
    • 卒業後5年間、継続して介護等の業務に従事する(育児休業等を取得した場合は、その期間を合算して5年間

→介護福祉士に不合格であっても、卒業後5年就労すればその間はみなし介護福祉士として、5年後は正式に介護福祉士として登録できるということです。

→介護福祉士を取得すると、在留ビザ「介護」となり、親族の呼び寄せや、在留期間の更新に上限がなく、永住することも可能になります。

行政書士堺国際支援オフィス

まとめると、この暫定措置は試験方法の改正によって、これまでは卒業だけで取得できていた介護福祉士資格が、国試合格が必須となったことによる救済措置であるということです。

つまり、留学生や特定技能の就労者が試験に合格できそうにないから、初めから学校に通って、このみなし介護福祉士として、在留ビザ「介護」を得てしまおう、という制度ではないのです。

令和9年までの時限措置ですが、私個人の感想としては延長は反対です。このような制度を恒久的に続けてしまうと、それこそ国家試験の意味が無くなると感じるからです。また、外国人就労者に対して配慮が必要だという意見もありますが、それについては、パート合格制が導入されることによって、なされていると思います。

事業関係者や介護スクール関係者に聞くと、楽観的で延長されると考えている方の割合の方が多いように感じます。

ただこうした本来の趣旨とは異なる利用者が急増し、こうして報道されることによって、問題が表面化し、規制の方向に向かうことは間違いないと思います。

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