高齢者向けシェアハウスとは?グループホームとの違いは?
政府、高齢者シェアハウス整備へ/介護も提供、3年間で100カ所
四国新聞 2025年7月12日付
記事は以下の内容です。
政府は、過疎地などで高齢者らが安心して暮らせる住まいを確保するため、低料金で入居できるシェアハウスを全国的に整備する方針だ。年内に詳細を詰め、今後3年間で100カ所を目指す。介護など地域ケアの提供拠点とも位置付ける。地方では、既存の介護施設の維持が危ぶまれており、住まいを失いかねない高齢者への対応が急務となっている。人口減少に対処する地方創生につながる新たな取り組みとして、自治体側は歓迎している。
政府が想定するのは、単身高齢者や高齢夫婦らの個室を備えた小規模なシェアハウス。社会福祉法人やNPO法人などが運営する。規模を抑えた介護施設や障害者グループホームを併設し、元気な居住者は施設の業務を手伝えるほか、必要になった段階で介護も受けられる。福祉人材が集約されるため、サービス提供の効率化も見込む。
建物は既存の介護施設の転用や一部活用で賄う。子どもの居場所など、地域住民が集う場としても期待する。整備事業の主体は自治体で、政府は地方創生の交付金で改修費を財政支援する。
記事をまとめると、
①既存の高齢者施設では維持できない
②過疎地域向けであること
③利用料金は安価
④詳細はこれから
とのこと。
まず、高齢者向けシェアハウスとは何ぞや、ということですが、
- 高齢者が集まって暮らす: 一人暮らしの高齢者や、夫婦で住む高齢者などが対象。
- 個室と共有スペース: 各自のプライベートな空間(個室)があり、リビング、キッチン、浴室などは共有。
(共同生活のメリット)
- 孤独感の解消: 孤立を防ぎ、入居者同士の交流が生まれる。
- 生活費の軽減: 家賃や光熱費などを分担することで、経済的な負担を減らせる。
- 見守り・助け合い: 入居者同士で互いに見守り、困った時には助け合える環境。
- 自由な生活: 施設のように厳格なルールがなく、比較的自由に生活できる。
- 運営形態: 民間企業が運営するものや、NPO法人などが運営するもの、自治体が関与するものなど様々。

施設に入るほどではないけれど、一人暮らしは不安、という高齢者にとって、新しい選択肢として注目されています。

グループホームも似たような感じじゃないの?何が違うの?
「高齢齢者向けシェアハウスとグループホームの違い」
高齢者向けシェアハウスとグループホームは、どちらも高齢者が共同生活を送る住居形態ですが、その目的、法的根拠、提供されるサービスなどに大きな違いがあります。
項目 | 高齢者向けシェアハウス | グループホーム(認知症対応型共同生活介護) |
---|---|---|
運営主体 | 民間企業、NPO法人、個人など | 主に社会福祉法人、医療法人、株式会社など(介護保険事業所) |
法的根拠 | 特定の法律に基づくものではない(賃貸住宅の範疇) | 介護保険法に基づく地域密着型サービス |
入居対象者 | 自立~軽度の介護が必要な高齢者(認知症の有無は問わない) | 認知症の診断を受けた要支援2以上の高齢者 |
目的 | 共同生活による孤独感解消、生活費軽減、見守り、助け合い | 認知症の症状緩和、自立支援、共同生活を通じたケア |
サービス内容 | 基本的に住宅提供のみ。生活支援や見守りは入居者間の助け合いが中心。別途、外部サービス利用は可能。 | 認知症ケア専門のスタッフによる生活援助、身体介護、機能訓練、レクリエーションなど。24時間体制の専門的なケア。 |
費用 | 家賃+光熱費+食費(選択制)など。比較的安価な場合が多い。 | 家賃+食費+光熱費+介護サービス費(1~3割負担)など。介護保険が適用される。 |
自由度 | 比較的高い。生活スタイルや外出、来客などに制限が少ない。 | 比較的低い。認知症ケアに特化した集団生活のため、一定のルールがある。 |
専門性 | 介護や医療の専門性は低い。 | 認知症ケアに特化した専門性の高いサービスを提供。 |
入居定員 | 施設によって様々(数人~数十人程度) | 1ユニット5人以上9人以下(地域密着型サービスのため小規模) |
医療連携 | 基本的に入居者自身で手配。 | 医療機関との連携が義務付けられている。 |

ざっと、表にまとめましたが
国の本音を察するに
①コンパクトシティ化することにより、負担が軽減できる
②現状を把握することで次の段階(介護施設への入所)につなげやすい
③人員配置や施設建築基準が緩く、施設運営側にもメリットを与える
こういったところでしょうか。
今年度中に詳細が発表されるとのことで、そもそも高齢者同士で相互扶助なんて可能なのか?という根本的な疑問も容易に想像できますが、どのような制度になるか注目していきたいところです。