行政書士法改正案について、権限が拡大?
2025年6月現在、行政書士法改正の法律案が出され、行政書士界隈で話題になっています。
①行政書士の使命の明確化: これまでの「目的」という表現から「使命」へと変更し、行政書士の業務が国民の権利利益の実現に資するものであることをより明確にする。
② 職責の明記: 品位を保ち、公正かつ誠実に業務を行うこと、そしてデジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術を活用して国民の利便向上に努めることなどを明記。
③ 信用失墜行為の禁止: 従来の「行政書士の責務」を「信用失墜行為の禁止」に置き換え、より直接的に「行政書士の信用又は品位を損なう行為をしてはならない」と表現。
④特定行政書士の業務範囲拡大: 特定行政書士が行政庁に許認可に関する不服申し立てをする際、「行政書士が作成した書類」を「作成できる書類」に改正することで、業務範囲を拡大。
⑤ 業務範囲の限定理由の明確化: 「行政書士ではない者は生業として規定する業務を行うことができない」という規定を、「他人の依頼を受け如何なる名目によるかを問わず報酬を得て・・・できない」に変更し、業務範囲を限定する理由をより明確にする。
⑥両罰規定の導入: 行政書士資格を有しない者が行政書士名簿に登録させた場合や名称の使用制限違反をした場合の、法人などに対する両罰規定を設ける。
なかでも、注目されているのは④と⑤で、
④であれば、例として生活保護の申請が挙げられていました。本人が書類を作成し、それが認められなかった場合、これまでは「行政書士が作成した書類」でなかったため、行政書士は不服申し立てできませんでしたが、「作成できる書類」と変わることによって、不服申し立てが可能となり、国民の権利利益の保護に資するとされています。
また、⑤が最も注目されているようです。
これまでは: 「生業として(=職業として)」という表現だったので、例えば「無償でやってあげた場合」や、「ボランティアのつもりでやった場合」など、グレーゾーンが生まれる可能性がありました。
改正後は: 「他人の依頼を受けて、お金をもらう(あるいは、お金に代わる利益を得る)のであれば、名目がどうであれ、行政書士の業務はできませんよ」ということを、より厳密に、誤解の余地なく明確にしています。

行政書士は業務の範囲が多岐にわたり、業際問題や、行政書士資格を持たないものが、行政書士業務を行うコンサル問題が多いようです。
議員質問にもあるように、今回の改正は業際問題に対して、区分を明確化したのではなく、あくまでも現在の法の趣旨を明文化したと説明されていますね。
これによって、劇的に無資格コンサル問題が解決できるかはわかりませんが、少なくとも抑止力にはなるかもしれませんね。
