特定技能(介護)とは

特定技能(介護分野)とは

他業種よりもより専門的な日本語能力が求められる


行政書士堺国際支援オフィス

「特定技能(介護)」は、日本で深刻化する介護分野の人手不足を解消するため、一定の専門スキルと日本語能力を持つ外国人が日本で働くことを可能にする在留資格「特定技能」の一つです。高齢化が進む日本にとって、この制度は介護現場を維持していく上で非常に重要な役割を担っています。

特定技能介護で働く外国人の要件とは?

特定技能介護の在留資格を得るためには、以下の2つの大きなハードルをクリアする必要があります。

  1. 介護のスキル
    • 「介護技能評価試験」への合格:これは、日本の介護現場で働くために必要な基礎的な知識と技能があるかを測る試験です。
    • または、「介護分野の技能実習2号を良好に修了していること」:技能実習制度で2年以上介護の現場で働いた経験があり、その実習が適切に修了している場合も、技能水準を満たしていると認められます。
  2. 日本語のスキル
    • 「介護日本語評価試験」への合格:介護現場特有の専門用語や利用者さんとのコミュニケーションに必要な日本語能力を測る試験です。
    • さらに、「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上」に合格していること:これは、日常生活や業務で最低限必要な日本語の基礎力を証明するものです。

これらの要件からもわかるように、特定技能介護で来日する外国人は、**来日する前から介護の知識と日本語の基礎が備わっている「即戦力」であることが期待されています。

特定技能介護でできる仕事の範囲

特定技能介護の外国人は、主に以下の業務を行うことができます。

  • 身体介護:入浴、食事、排泄、移動などの介助。
  • それに付随する支援業務:レクリエーションの実施、機能訓練の補助、見守りなど、利用者さんの日常生活を支援する幅広い業務が含まれます。

重要な点として、特定技能介護の外国人は、基本的に利用者さんのご自宅を訪問して介護を行う「訪問系サービス」には従事できませんでした。しかし、2025年度にはこの制限が緩和され、特定技能介護人材が訪問介護に対応できるようになりました。これは、多様な介護ニーズに対応し、より柔軟な人材配置を可能にする大きな変更点と言えるでしょう。

また、介護業務の専門性から、サービス提供責任者や計画作成担当者などの「管理的な業務」に就くことはできません

雇用条件と受け入れ側の義務

受け入れ企業(特定技能所属機関)は、特定技能介護の外国人を雇用する際に以下の義務があります。

  • 直接雇用が原則: 特定技能外国人は、派遣労働ではなく、受け入れ企業と直接雇用契約を結ぶ必要があります。
  • 日本人と同等以上の報酬: 同じ業務を行う日本人従業員と比較して、同等かそれ以上の報酬を支払うことが義務付けられています。これは、外国人労働者が不当に低い賃金で働かされることを防ぐための重要なルールです。
  • 支援の義務: 特定技能外国人が日本で安心して生活し、働くことができるよう、様々な支援を行う必要があります。この支援業務を自社で行うのが難しい場合に依頼するのが「登録支援機関」(登録支援機関についてはこちら)です。


特定技能介護についてのまとめ

項目内容
目的日本の介護分野の人手不足解消のため、即戦力となる外国人材を受け入れる。
対象者以下の要件を満たす外国人材: 介護スキル: 「介護技能評価試験」合格 または 介護分野の技能実習2号を良好に修了
2. 日本語スキル: 「介護日本語評価試験」合格 + JLPT N4 / JFT-Basic A2以上。
在留期間最長5年間
業務内容身体介護(入浴、食事、排泄介助など)とそれに付随する支援業務。
雇用形態原則として直接雇用(派遣は不可)。
報酬日本人従業員と同等以上
長期滞在特定技能2号への移行はなし。ただし、介護福祉士の国家資格取得で在留資格「介護」へ変更でき、期間の制限なく日本に滞在可能
支援義務受け入れ企業は、生活・就労支援が義務。自社で困難な場合は登録支援機関に委託できる。
行政書士堺国際支援オフィス

特定技能制度の日本語要件について他分野では、JLPT N4またはJFT-Basic A2以上とされていますが、介護分野ではこれに加えて「介護日本語評価試験」という専門の試験にも合格する必要があります。これは、ただ日本語ができるだけでなく、介護の現場でスムーズに利用者さんや職員とコミュニケーションが取れる「介護特化の日本語力」が特に重要視されている証拠ですね。

PAGE TOP
PAGE TOP