在留資格「介護」とは…

在留資格「介護」とは

他業種とは異なる独特の在留資格


行政書士堺国際支援オフィス

日本の介護福祉士国家資格を持つ外国人が、日本で介護の仕事をするための就労系の在留資格です。通称「介護ビザ」と呼ばれることもあります。

この在留資格は、日本の高齢化が急速に進む中で深刻化している介護人材の不足を解消するために、専門的な知識と技術を持つ外国人材を長期的に受け入れることを目的としています。

介護福祉士の国家資格が必須

  • 在留資格「介護」を取得するための最も重要な要件は、日本の介護福祉士国家試験に合格し、介護福祉士の資格を持っていることです。
  • この資格取得ルートは問われません。(例:日本の介護福祉士養成施設を卒業して取得、または3年以上の実務経験を積んで国家試験に合格する「実務経験ルート」など、いずれのルートでも問題ありません。)

永続的な就労が可能

  • 在留期間は3ヶ月、1年、3年、5年のいずれかが付与されますが、更新回数に制限がありません
  • 雇用契約が継続している限り、事実上、永続的に日本で介護の仕事に就き続けることができます。これは、特定技能(最長5年)や技能実習(最長5年)といった他の在留資格と比べて大きな違いです。

家族帯同が可能

  • 在留資格「介護」を持つ外国人は、配偶者と子を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せ、一緒に生活することができます。特定技能では原則として家族の帯同が認められていないため、これも大きなメリットです。

業務範囲に制限が少ない

  • 介護福祉士の国家資格を持つため、介護に関する専門的な知識と技術があると認められています。
  • 施設での身体介護、生活援助、レクリエーション、機能訓練のほか、訪問介護サービスなど、幅広い介護業務に従事することができます。特定技能や技能実習では、業務内容に制限がある場合があります(ただし、特定技能は訪問介護も可能になるよう制度改正が進められています)

⑤日本人と同等以上の報酬

  • 雇用契約を結ぶ際には、同一の業務内容であれば、日本人介護職員と同等以上の報酬を受けることが義務付けられています。

キャリアアップの可能性

  • 介護福祉士として経験を積むことで、チームリーダーやサービス提供責任者、さらには管理職など、より責任のあるポジションへのキャリアアップも期待できます。

行政書士堺国際支援オフィス

在留資格「介護」、いわゆる介護ビザは特定技能1号からの次の資格になるイメージです。(特定技能ページはこちら)

全く制度が分からない外国人に伝える際に私が使うのがポケモンやドラゴンボールの例えです。厳密に言うと違いますし、在留資格は一つのルートだけではないのですが、ポケモンの進化やドラゴンボールのスーパーサイヤ人のようなものだよというと若い方はすんなりと理解していただけます。

他の分野だと特定技能1号の次は特定技能2号になりますが、どうして介護分野は特定技能2号ではなく、在留資格「介護」と特有なのですか?違いはあるのでしょうか?

在留資格「介護」と特定技能2号の他の分野との違いについてですね。

まず、大前提として認識いただきたいのは、ご質問のとおり、「特定技能2号」の対象分野に「介護」は含まれていません。

「介護」分野で特定技能1号の在留資格を持つ外国人が、日本で長期的に働くことを目指す場合、ステップアップ先となるのは「在留資格『介護』」であり、他の分野の特定技能1号から特定技能2号へ移行するのとは異なるパスになります。

この違いを踏まえて、特定技能2号(介護以外の分野)と在留資格「介護」を比較しながら説明します。

特定技能2号(介護以外の分野)の主な特徴

特定技能2号は、特定技能1号で培った技能に加え、さらに熟練した技能が求められる在留資格です。

  • 対象分野: ビルクリーニング、工業製品製造業(素形材・産業機械、電気電子情報関連)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業など、介護分野を除く11分野が対象です(2024年6月時点)。
  • 求められる技能水準: 特定技能1号よりも高く、熟練した技能を有することが求められます。具体的には、自らの判断で高度な専門的業務を遂行したり、現場の作業者を指導・監督できるレベルが期待されます。
  • 在留期間: 更新回数に制限がなく、事実上永続的に日本に滞在できます
  • 家族帯同: 配偶者と子を日本に呼び寄せ、一緒に暮らすことが可能です(「家族滞在」の在留資格)。
  • 日本語能力: 原則として日本語能力試験の受験は不要とされていますが、各分野の試験で業務に必要な日本語能力が問われます。

在留資格「介護」と特定技能2号(他の分野)の比較

項目在留資格「介護」特定技能2号(介護以外の分野)
前提資格/技能日本の介護福祉士国家資格が必須熟練した技能(各分野の特定技能2号評価試験合格または技能検定1級合格)
対象分野介護分野のみ介護以外の11分野
在留期間更新回数に制限なし(永続的)更新回数に制限なし(永続的)
家族帯同可能(配偶者と子)可能(配偶者と子)
日本語能力介護福祉士国家試験合格レベルの日本語力(N2相当が目安)原則として日本語試験不要(ただし、各分野の業務に必要な日本語は求められる)
目的専門性を持つ介護福祉士としての長期就労熟練技能者としての長期就労
キャリアパス特定技能1号(介護)からの直接のステップアップ先となる。特定技能1号から、さらに技能を習熟した後のステップアップ先となる。

なぜ介護分野は特定技能2号ではないのか?

介護分野は、他の特定技能分野とは異なり、既に「介護福祉士」という国家資格を持つ外国人を対象とした在留資格「介護」が存在しているためです。

厚生労働省および出入国在留管理庁は、介護分野においては、特定技能1号(最長5年)で働く外国人が、その間に日本の介護福祉士国家資格を取得し、在留資格「介護」へ移行することを長期的なキャリアパスとしています。

  • 在留資格「介護」の優位性: 介護福祉士国家資格は、日本の介護分野における最高峰の国家資格であり、その専門性が国によって認められています。そのため、特定技能2号と同等、あるいはそれ以上の長期滞在や家族帯同の権利が、この在留資格「介護」に付与されています。
  • 専門職としての位置づけ: 介護福祉士は、単なる作業者ではなく、利用者の状態に応じた専門的な判断やケアマネジメント、他の職員への指導などを行う専門職と位置づけられています。特定技能2号が求める「熟練した技能」だけでなく、より高度な「専門性」が求められるため、「特定技能2号」とは別の「在留資格『介護』」として扱われているのです。
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