
登録支援機関は、日本の「特定技能」という在留資格を持つ外国人材を受け入れる企業(特定技能所属機関)をサポートする機関です。特定技能外国人を雇用する企業は、特定技能外国人が日本で安定的かつ円滑に活動できるよう、様々な支援を行うことが義務付けられています。この支援業務を、自社で実施できない場合に、企業に代わって支援を行うのが登録支援機関です。
令和7年現在、増加し続け、総数は全国で1万社を超え、支援能力が担保されていない機関もあり、有象無象の状態であるという指摘もあります。
登録支援機関の概要(設立要件についてはこちら)
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 「特定技能」在留資格を持つ外国人材を受け入れる企業(特定技能所属機関)が義務付けられている支援業務を、企業に代わって実施する機関。 |
主な役割 | 特定技能外国人が日本で安定的かつ円滑に活動できるよう、様々な支援を行う。 |
支援の種類 | 義務的支援 と 任意的支援 がある。 |
義務的支援の主な内容 | 1. 事前ガイダンスの実施: 労働条件、活動内容、生活情報の説明 2. 出入国時の送迎: 空港と事業所/住居間の送迎。 3. 住居確保・生活に必要な契約支援: 住居探し、契約サポート、銀行口座開設、携帯電話・ライフライン契約の案内・補助、必要に応じて連帯保証人。 4. 生活オリエンテーションの実施: 日本のルール、マナー、公共交通機関、緊急連絡先、災害時対応の説明。 5. 公的手続き等への同行: 住民票登録、社会保障、税金などの行政手続きの同行・補助。 6. 日本語学習の機会の提供: 日本語教室や学習教材の情報提供7. 相談・苦情への対応: 職場・生活上の相談・苦情対応、助言・指導(理解できる言語で)。 8. 日本人との交流促進: 地域住民との交流機会の案内・補助。 9.転職支援(人員整理等の場合): 雇用契約解除時の転職先探し、推薦状作成。 10. 定期的な面談・行政機関への通報: 外国人および上司と定期面談(3か月に1回以上)、労働基準法違反などがあれば行政へ通報。 |
任意的支援の内容 | 義務的支援に加え、日本語指導や資格取得支援など、より円滑な生活をサポートする支援。 |
費用相場 | 月額費用: 特定技能外国人1人あたり月額2万円〜3万円。 支援項目ごとの費用: 事前ガイダンス(2万〜6万円/回)、生活オリエンテーション(3万〜8万円/回)、定期面談(1万〜1.5万円/回)、同行が必要な支援(5千円〜1万円/時間)など。 ※別途、ビザ申請費用、人材紹介料などが発生する場合がある。 |
選定時のポイント | 支援実績、対応言語、費用体系の明確さ、サポート内容(任意的支援含む)。 |


混同しやすいものとして、技能実習生を受け入れのサポートを行う監理団体というものがあります。
以下に簡単にまとめました。
監理団体の詳細については、別途特別ページをごらんください。
項目 | 監理団体 | 登録支援機関 |
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対象制度 | 技能実習制度 | 特定技能制度 |
対象外国人 | 技能実習生 | 特定技能外国人 |
目的 | 技能移転と実習生の保護・育成の監理・監督 | 特定技能外国人の生活・就労支援 |
組織の性質 | 非営利団体(事業協同組合、職業訓練法人など) | 営利・非営利を問わない(民間企業、行政書士など) |
企業との関係 | 受け入れ企業への監督・指導(上下関係が強い) | 受け入れ企業との対等なパートナーシップ |
主な業務 | 監査、入国後講習、技能実習計画指導、送り出し機関との連携 | 事前ガイダンス、生活支援、公的手続き同行、相談対応 |

監理団体と登録支援機関はどちらも外国人材をサポートしますが、監理団体は技能実習生を「監督・指導」する非営利組織であるのに対し、登録支援機関は特定技能外国人を「生活・就労支援」する企業・団体です。
実は登録支援機関は、受け入れ企業自身が支援を実施できる場合は、必ずしも利用しなくても良いという特徴があります。つまり、企業が外国人材の支援体制を十分に整えられるなら、自社で「登録支援機関」の機能を持つことも可能です。これは、技能実習制度で監理団体の利用がほぼ必須であることとは大きく異なります。特定技能制度が「即戦力」を求めているからこそ、企業側の柔軟な対応を促している側面があるんですね。
